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2002年7月 JEITAニューヨーク駐在・・・荒田 良平
「米国におけるワイヤレス市場の動向」(その1) |
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Nextel Nextel(http://www.nextel.com/)は、セルラー、PCSとは異なるSMR(Specialized Mobile Radio)事業者である。Motorolaの開発したデジタル方式のiDEN技術を採用しており、iDENを利用して全米にサービスを展開する唯一のSMR事業者として知られている。SMRは、もともとタクシー無線などに利用されていた周波数帯であり、1対複数の無線通信ができる点が特徴である。そのため、同社はこれまですべて法人をターゲットとした営業展開を行ってきた。法人の固定客を獲得した結果、同社のARPU(Average Revenue Per User)は主要ワイヤレス事業者の中でトップの75ドルと高く、離客率は2%と低い。2000年にはSprint PCSに続いて携帯電話からのモバイル・データ通信サービスを開始し、既存の法人顧客へのサービス強化に取り組んだ結果、同社のデータ通信サービスは既に法人市場である程度受け入れられつつある。また、他国のGSM事業者との提携による国際ローミング・サービスも始めており、現在では、同社の顧客はデュアルモード・トライバンド対応端末(つまりiDENとGSMの両方の方式で利用でき(=デュアルモード)、かつ800MHz, 1,800MHz, 1,900MHzの3つの周波数帯域に対応(=トライバンド)している端末)を使用することで、世界75か国(トップ25都市のうち18都市をカバー)でサービスを利用できる。現在、同社のサービスキャッチフレーズは「世界中で同じ電話、同じ番号で(One Phone. One Number. Worldwide.)」であり、国際展開も同社の戦略の柱となっている。 (6)
VoiceStream VoiceStream(http://www.voicestream.com/)は、小規模セルラー事業者のWestern Wireless Corpの子会社として設立された。北米で2番目にGSM方式を採用したGSM事業者として、またSprint PCSと同様、後発ながらここ数年での成長が著しいことで知られている。ハワイを中心とする地域市場でPCSサービスを提供しており、大都市圏市場を有していなかったことなどから、かつては主要事業者ではなかった。同社は、1999年5月、ワシントン州ベルビューに本拠を置く親会社Western Wireless Corpから正式に独立し、その後、Hutchison(香港の大手通信事業者)、TDS(米テレコム持株会社)、Sonera(フィンランドの通信事業者)などから出資を受け、現在のVoiceStreamの基盤を形成したことで全米の注目を集めるようになった。2000年5月、競合GSM事業者であるOmnipoint Communications と Aerial Communicationsの合併を完了し、全米にGSMカバレッジをもつ北米最大のGSM事業者となった。2000年7月、Deutsche Telecomに買収され、Deutsche Telecomの北米における携帯電話事業部門となっている。 (7)
通信キャリア間の勢力関係 図表10は、世界のモバイル通信事業者の勢力関係を整理・図示したものである。 図表10 世界のモバイル通信事業者の勢力関係(2002年4月現在) ![]() (出展: ワシントン・コア作成) (続く) 参照URL: http://www.wow-com.com/pdf/CTIA2001Survey.pdf(図表1、2関連) http://hraunfoss.fcc.gov/edocs_public/attachmatch/FCC-01-192A1.pdf (図表3、4、5、6関連) |
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