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98年9月 JEIDA駐在員・・・長谷川英一
グローバル・エレクトロニック・コマース
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● 3.コンテンツ
インターネット上のコンテンツについては、昨年6月に96年通信改正法品位条項が連邦最高裁において違憲判決を受けて後、政府は、「産業界による自主規制、コンテンツの格付け、あるいは不適当なコンテンツから子供達を守る技術の開発を支援する」という立場に回ったのは周知のとおりである。 昨年12月にはインターネットが子供たちに与える影響について考えるインターネット・オンライン・サミットが開催され、ゴア副大統領を初め、教育長官、司法長官、商務長官などがスピーチを寄せている。ゴア副大統領は、企業によるレーティング・システムやフィルタリング・ツールの提供を歓迎し、政府としてこれら民間の努力を支援するとし、逆にこれらの動きを検閲として批判する勢力に対しては、子供たちを守るのは親の権利であり、米国憲法の言論の自由と同じく重要なのだと釘をさしている。 このサミットでのコンセンサスを受けて、民間団体・企業、教育相や司法省の支援により、「America Link Up (www.netparents.org)」などという団体もできて、親たちに対し、オンラインで子供をどのように守るかについての教育活動などを行っている。 また、「World Wide Web Consortium (www.w3c.org)」 では、レーティングやフィルタリングのソフトウェアを載せるためのプラットフォームである「Platform for Internet Content Selection (PICS)」を開発して公開しており、これに準拠したソフトウェアが既にいろいろと開発されている。その他に、民間のレーティングの団体などもいくつか独自の活動を行っているが、レーティングにしろ、フィルタリングにしろ、まだ業界標準的なものができてくると言う段階には至っていない。
一方、通信品位条項の違憲判決後、しばらく鳴りを潜めていたコンテンツ規制関連の法制化の動きであるが、夏休み前の7月の上院で相次いで4つの条項が通ってしまった。 まずは、ジョン・マッケイン議員(共和党、アリゾナ)が提出していた、学校がインターネット接続費用の連邦補助を受ける場合には、子供に有害なコンテンツを排除するフィルタリング・ソフトを入れなければならないという趣旨の条項(S.1619「Internet School Filtering Act」)と、ダン・コーツ議員(共和党、インディアナ)が提出していた、マイナー(17歳以下の子供を含む)に有害なコンテンツを載せたウェブサイトは違法とするという条項(S.1482「Communication Decency Act (CDA) ?」)の二つである。 どちらも、2月に一度公聴会が開かれたがそのままペンディングとなっていた法案であるが、7月21日に、「商務省、国務省、司法省1999年歳出承認法案」の修正条項として付加されてあっけなく通ってしまった。続いて22日には、ローチ・フェアクロース議員(共和党、ノースカロライナ)が、児童ポルノに関する捜査の際にはFBIは大陪審の許可がなくてもISPの顧客記録にアクセスすることを認めるという修正条項を付加した。さらに23日には、ジョン・カイル議員(共和党、アリゾナ)が昨年来提出していたS.474「Internet Gambling Prohibition Act」が、同じく修正条項の形で入ることになった。 これらの条項について当然のことながら権利擁護団体などは、議場での議論もなされず、言論の自由やプライバシーを損なうものであることも理解されないまま、上院を通過したことは問題であると抗議している。いずれにしても、9月中に下院の歳出承認法案とも調整される必要があり、そのままの形でこれらが通過するとは見られていないが、子供を守ることを民間任せだけにはしておけないとして、このような法案が議員たちの間からまだまだ出てくるのかもしれない。(中間選挙の前でもあるので。) |