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98年9月 JEIDA駐在員・・・長谷川英一
グローバル・エレクトロニック・コマース
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● 4. その他
前回報告した、課税、プライバシー、ドメイン・ネームについて、その後の1ヶ月に生じた動きを若干補足してみたい。 (1) インターネットへの課税
この法案は結局、両委員会での差異を調整している時間がなく、夏休み休会までに本会議に上げられなかったが、9月には調整を経て本会議で決定がなされる見込みである。しかし、さらに両院法案の調整が控えており、年内の成立は微妙なところであろう。 (2) プライバシー保護
また、大統領顧問のアイラ・マガツィナー氏は、8月25日、民間団体主催のインターネット関連の会合で、プライバシー保護に係るEUの指令(10月25日発効)については、まだEU15カ国のうち3カ国しか法案を通していないなど、足並みが揃っているわけではなく、再考させることはできると信じていると語っている。 (3) ドメイン・ネーム・システム
既に、7月1?2日の北米地域会合(バージニア州レストン)、7月24、25日の欧州地域会合(ジュネーブ)、8月11?13日のアジア太平洋地域会合(シンガポール)、そして8月20、21日の中南米会合(ブエノスアイレス)と世界を回り終え、最後は9月にアメリカで総括の会議が開催されるようである。それぞれの地域で得られたコンセンサスもウェブサイトから見ることができるが、ボードメンバーにはそれぞれの地域の代表が同じ比重で入ることと言うのが当然のことながら強調されている。 さて、コーポレーションの組織であるが、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)(www.iana.org)が進化して行くのが好ましいとしていた米国政府の意図のとおり、IANA所長のジョン・ポステル博士(インターネットの父の一人)は新IANAへの移行準備を着々と進めている。既に7月17日に最初の定款(Bylaws)案を出してコメントを求め、8月24日には第3版を掲示している。定款案によれば、コーポレーションはカリフォルニア州の非営利団体として、オフィスはロサンゼルスに置く。名称は定款案の中にははっきりとは示されていないが、別の文書で見ると「IANA」のままにしようとしているらしい。事業はインターネット運用の安定維持及びトップ・レベル・ドメインの割当て管理に必要なあらゆること。ボードメンバーは世界の地域代表を半数含む9名とする、というようなものである。どうもコーポレーションと言ってもIANAが米国内で東から西に移り、ボードメンバーに世界の地域代表が一人ずつ加わるだけで、これまでとあまり変わらないような気もするが、まあそういうものなのかもしれない。 いずれにしても、9月末を目指して夏休み返上で行われている準備作業は、目を回すようなスピードで進んでいる。この稿が月報に掲載される頃には、もう新体制の大枠は固まり、いよいよドメイン・ネーム・システムの中身の議論を始めようとしているのだろう。(ところで、日本はこのスピードについて行けているのだろうか?)
● おわりに
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