(2)99年に審議されている法案
98年はGPEAのみ通ったが、99年もいくつもの法案が出されている。主要な法案は以下の通り(提出日順、H.R.は下院、S.は上院を示す)であるが、このうち(3)
S.761と(6) H.R.1714のみ、7月末時点で審議に動きがある。何が通るかは予想しないほうが良いだろうが、エイブラハム上院議員はGPEAに次いで、今年も当てるかもしれない。
(1)H.R.391「Small Business Paperwork Reduction Act Amendments of 1999」デビッド・マッキントッシュ議員(共和党、インディアナ)1/19提出、政府改革委員会付託、2/5同委員会通過、2/11本会議をいくつかの修正後通過、2/12上院に提出、2/22政府問題委員会で2読
- OMBは、毎年、各連邦政府機関が小企業から集める予定の情報についてのリストを官報及びインターネットで掲示しなければならない。
- 各機関は小企業からの情報収集のためのコンタクトポイントを置かなければならない。
- 各機関は、小企業が情報収集を怠った場合でも、それが1度目であり、かつそれが公共に対する重大な影響などがない場合には、これに罰金を課してはならない。州政府も同様。
- 各機関は、小企業(従業員25名未満)のペーパーワークをさらに軽減するよう努力する。
- 各機関の代表からなるタスクフォースを設置し、電子報告システムなどを含めて、小企業のペーパーワークの合理化についての研究を行い、議会に報告させる。
(2)H.R.439「Paper Elimination Act of 1999」ジェームズ・タレント議員(共和党、ミズーリ)2/2提出、2/9全会一致で下院通過、2/11上院提出、2/22政府問題委員会で2読
- OMBは紙の代わりとしての電子的な伝達、保守管理、情報公開のための、あるいは電子署名の利用や受容のための情報技術の調達や利用を促進し、かつその進捗状況を記述した戦略的な運用計画を策定する。
- 各連邦政府機関は、@国民から情報を集める場合には、電子的な伝達、保守管理、情報公開の利用をオプションとして認め、A仕事の軽減やデータ品質、機関の能率、公共への責任の向上のために、電子的な伝達等のための技術を利用し、B国民がどのように電子的に伝達等をすれば良いのかを明示しなければならない。
- 各連邦政府機関は、電子的な伝達を用いて国民から情報を集めることで、小企業にとっての負担が軽減されているか(特に納税手続きの場合も含めて)について議会に報告しなければならない。
(3)S.761「Millenium Digital Commerce Act」スペンサー・エイブラハム議員(共和党、ミシガン)3/25提出、5/27商業委員会公聴会、6/23商業委員会通過、7/30修正を加え上院本会議に提出
(姉妹法) H.R.1320「Millenium Digital Commerce Act」アンナ・エシュー議員(民主党、カリフォルニア)3/25提出、4/12商業委員会通信・貿易・消費者保護小委員会付託
- 連邦政府は、国際的な商取引における電子署名の利用を管理するための原則について、以下を含み、実行可能な範囲で監視する。
- UNCITRALの96年のEコマース・モデル法にある重要な原則を適用して、電子的な取引に対するペーパーベースの障害を取り除く。
- 当事者が取引に当たって、適切な認証(authentication)の技術を使うことで、契約が有効になることを保証する。
- その当事者が、そのような認証を使った取引が有効であるということを裁判の場で証明する機会を持つことを認める。
- 別の司法管轄区における電子署名・認証方法に対しても非差別的に取り扱う。
- 州際取引でも単に電子署名や電子記録の方法が異なると言う理由だけで、法的効力を否定してはならないことを明言する。
- 州際取引において、当事者がその取引に用いる電子署名や電子記録の方式を確立し、有効とすることを認める。
- 各連邦政府機関は、OMBと商務省に対して、電子的な取引の障害となっている法律や規定について報告し、商務長官はそれらの障害を除去するためにどのような法律やアクションが必要かについて、議会に報告しなければならない。
(4)H.R.1572「Digital Signature Act of 1999」バート・ゴードン議員(民主党、テネシー)4/27提出、5/5科学委員会技術小委員会付託
- NISTは、産業界との協力の下、連邦政府機関が安全かつインターオペラブルにデジタル署名を利用できるようなインフラストラクチャー・ガイドライン及び標準を開発する。
- 商務省は、産官学から成る「National Policy Panel for Digital Signature」を設置して、デジタル署名技術のインプリメンテーションに努める。
(5)H.R.1685「Internet Growth and Development Act of 1999」リック・ボーチャー議員(民主党、バージニア)5/5提出、6/30商業委員会公聴会
州際及び国際商取引における電子署名に認知を与え、求められていない電子メール広告の送信を制限し、FTCに対して商用インターネット・サイトでのプライバシー保護のルール制定を要請し、かつブロードバンドのインターネット・サービスの普及を促進することを目的とする。
(うち電子署名の部分)
- 適切に確立された電子認証手段によって認証された電子署名は、ペーパーベースの署名と同等の法的効力があるとみなす。
- 電子記録は、それが電子的であるからと言う理由だけで、法的効力が否定されることはない。
- 上に沿った既存の州法は、この法律によって影響を受けるものではない。
(6)H.R.1714「Electronic Signatures in Global and National Commerce Act」トム・ブリリー議員(共和党、バージニア)5/6提出、5/25商業委員会通信・貿易・消費者保護小委員会付託、6/9同小委公聴会、7/29同小委通過、商業委員会に提出
- Title1: 電子記録・署名の商取引における有効性 Eコマースにおいて電子署名があるならば、契約書が手書きでないとか署名がされていないとかで、その契約の法的効力を否定してはならない。また、Eコマースの契約書を律するジェネラル・ルールを連邦や州の法規則が変更したり代替したりすることができる場合のガイドラインを策定する。商務長官は、州の法規則がそのガイドラインを害することのないよう強制する権限を持つ。ある種の遺言状や家族法に係る文書などはこの法の範囲外とする。
- Title2: 電子署名のためのソフトウェア製品とサービスの開発と適用 商務長官は、電子署名のためのソフトウェア製品やサービスを用いた商取引への障害についての調査を行い議会に報告するとともに、州際及び国際取引における電子署名の実際の利用を促進する。
- Title3: 連邦証券取引法の下での電子記録・署名の利用 電子記録・署名の利用に関するこの法の条項を反映して、1934年証券取引法を改正する。SECはこのインプリメントのための規則を規定する。
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