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2000年5月 JEIDA駐在員・・・長谷川英一
米国の東北部におけるIT産業集積の動向 -3- |
3.ボストンのルート128号線沿い 続いてボストン地区を取り上げてみよう。ボストンのメトロ地域と128号線沿いというのはシリコンバレーと並んで70年代から80年代にかけて最も発展したハイテクセンターであった。デジタル・エクイップメントやワング・ラボラトリーズといったミニコンメーカーやレイセオンを代表とする防衛企業などが、国防総省からの受託プロジェクトとMIT等の大学の技術力をバックにマサチューセッツ・ミラクルなどと言われるほどの隆盛を極めた。それが、80年代半ばから90年代初めにかけての不況と国防費の大幅削減によって大打撃を受け、それを乗り切ったシリコンバレーとは明暗を成すことになってしまった。 (地域の特徴)
しかし、元々、以下のような高いポテンシャルを有する地域のこと、ニュー・エコノミーの到来とともに、ルート128号線は復活を始めた。
(発展の状況) マサチューセッツはIT企業、特にソフトウェア企業、Eコマース関連企業、そして通信分野の企業の集積が際立っている。 ソフトウェア企業は、マサチューセッツ・ソフトウェア・カウンシル(www.swcouncil.org)によれば1989年の800社から1998年には2,751社に上り、13.8万人を雇用している。さらに99年には200社以上が新規に立ち上がり、年間の売上は105億ドルを超えている。 Eコマース関連企業については、99年にマサチューセッツ・テクノロジー・コラボレイティブが行った調査に詳しいが、98年の段階で491社のEコマース企業が18,567人を雇用している。この調査ではEコマース企業を次の5つのセグメントに分けているが、ボストンはこのうちのE-Tech企業が全体の44%で、12,000以上の雇用を要している。続いてEコマース・サービスで29%で、2,300人を雇用。
マサチューセッツは、通信産業も全米で人口当たりの集積度が最も高く、年間440億ドルの売上を達成している。この地域の新たな求人の5人に1人は通信関連である。 マサチューセッツにおけるインターネット関連のベンチャー・キャピタル投資は全米ではカリフォルニアに次いで第2位である。IPOでも成功しており、例えばアカマイやシカモア・ネットワークスなどの企業は、130〜140億ドルというマーケット価値を創出している。99年のベンチャー・キャピタルのマサチューセッツへの投資額は37億ドル、カリフォルニアに次ぎ、全米の10%のシェアとなっている。Eコマース企業へのベンチャー投資数でも、図に示すように、カリフォルニアについで第2位で、NYがそれに続く。 ![]() ![]() もう一つ、マサチューセッツは連邦政府からのR&D投資の大学や非営利研究機関での利用が際立って高い。人口1人当たりでの額では288ドルと、第2位以下の2〜3倍以上となっている。連邦政府R&D資金は民間のR&D投資に波及を与えるのはもちろんのこと、この地域の最先端技術へのコミットを明確に示すものとなっている。 ![]() (最近のイニシアチブ) マサチューセッツの産業振興を支えているのは、州の機関である「Massachusetts Office of Business Development」(www.state.ma.us/mobd/mobdhome.htm)などが中心であり、以下にまとめるようなイニシアチブを実施している。
また、別に「Massachusetts Technology Collaborative(MTC)」(www.mtpc.org/about/about.htm#)では、州のイノベーションを振興するための各種調査活動などを実施している。 また、ボストン市のレベルでも、市におけるビジネス・オポチュニティを支援するために「Boston Office of Business Development」(www.ci.boston.ma.us/dnd/obd/1_Business_Dev.asp)を98年6月に設立している。同オフィスにおいて、Venture Capital Forumと言ったイベントを開催するなど、各種支援策を実施している。 もう一つ、ベンチャー起業支援と言うことでこの地域で忘れてはならないのが、MITの各種プログラムである。その中心的な組織が「MIT Entrepreneurship Center 」(entrepreneurship.mit.edu/index.html)で、ハイテク・ベンチャーの管理者を訓練してその能力を向上させることがその中心的な目的である。このセンターの支援で行われている各種コンペなどから、実際に多くの起業が起こっている。 |
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