2003年1月  JEITAニューヨーク駐在・・・荒田 良平

2002年の回顧と2003年の展望」


はじめに

1年前の「回顧と展望」で、IT革命の「始まりの終わり」は2001年で終わって欲しいと期待を込めて書いた。しかし、どうも2001年では終わらなかったようだ。個人生活や事業活動におけるITの利用は着々と進んではいるものの、IT関連産業はテレコム・バブル崩壊の影響のみならず広く米国経済を覆った企業会計不信の影響なども受けて苦闘を続けており、長いトンネルの出口は一向に見えてこない。

本稿では、2002年時点における米国のIT利用の現状やIT産業の現状について振り返るとともに、2002年の回顧として、日頃IT関連のニュース等をチェックしているアシスタントのMatthew Vetrini君に選んでもらった「ITを巡る2002年の10大トレンド」を記載する。

1.             米国におけるIT利用の現状

まず、2002年時点での米国におけるITの利用状況の現状について、適宜日本との比較も交えながら数字をチェックしておくこととする。

○ 米国におけるインターネット人口は、Nielsen//NetRatingsによると、20024月時点で約16,600万人である。これを利用率に換算すると約59%ということになる。(これはインターネット接続が可能な世帯の構成員全員(乳児は除く)をカウントしている数字なので注意が必要である。)(図表1
 同時期における日本のインターネット人口が約5,100万人、利用率が約40%(携帯電話からのインターネット接続を含まない)であるので、依然として米国が日本をリードしているということになる。
 ただし、同社の調査によると、米国のインターネット利用人口が2001年以降ほとんど増えていないように見える一方で、日本のインターネット利用人口は最近では6,000万人近くまで増えているようなので、その差は少しずつ縮まっていると言えるであろう。

図表1 インターネット人口の日米比較(20024月)

インターネット人口

(百万人)

普及率
USA
165.8
59
日本
51.3
40

(注)普及率は、USAの人口を28,000万人、
日本の人口を12,700万人として算出。

(出展: Nielsen//NetRatings

○ 参考までに、少し古いデータであるが20019月時点での米国におけるインターネット利用率の年齢別分布を見ると、概ね10歳から60歳までの過半数がインターネットを利用している。(図表2
 特徴的なのは、特に10代半ばから後半の学童年齢におけるインターネット利用率が高いということであって、前クリントン・ゴア政権時代に始まったe-rateプログラムなどにより教育現場へのインターネットの普及が着々と進展していることを窺わせる。


図表2 インターネット利用率の年齢別分布(380歳)

(出展: DOCA Nation Online」)

○ なお、日米のインターネット利用率の差が縮まってきている要因の一つとして、PCの世帯普及率の差が無くなってきていることを挙げることができそうである。図表3は、日米のPC世帯普及率のおおまかなトレンドを見るためそれぞれの数字を重ね合わせて作成してみたもの(調査対象、調査時点等が異なるので厳密な比較はできないことに注意)であるが、米国の普及率が思ったほど高くない一方で、日本の普及率が近年急速に伸びていることが窺える。

図表3 PCの世帯普及率


(出展: 米国・DOCA Nation Online」、日本・内閣府「消費動向調査」)

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