2003年3月  JEITAニューヨーク駐在・・・荒田 良平

「米国のIT関連R&D政策の動向」


図表11 R&D予算合計(20022004年度)

(単位: 百万ドル)

 

FY 2002

実績

FY 2003

見込

FY 2004

要求

FY 2003予算

増減額

R&D合計

102,899

117,106

122,259

5,153

4.4%

国防R&D

53,731

62,986

67,515

4,530

7.2%

非国防R&D

  除:NIH

49,167

26,453

54,121

27,875

54,744

27,798

623

77

1.2%

0.3%

(出展: 米国科学振興協会(AAAS)資料から作成)

また、ITに関連する他のR&D予算を見ると、2004年度の国家ナノテク計画(NNI)予算は、対前年度比9.4%増の84,700万ドルとなっている。(図表12

図表12 国家ナノテク計画(20022004年度)

(単位: 百万ドル)

省 庁

FY2002実績

FY2003見込

FY2004要求

2003-2004増減額

2003-2004増減%

NSF

204

221

247

26

11.8%

Defense

224

243

222

21

8.6%

Energy

89

133

197

64

48.1%

NIH

59

65

70

5

7.7%

CommerceNIST

77

69

62

7

10.1%

NASA

35

33

31

2

6.1%

Agriculture

0

1

10

9

900.0%

EPA

6

6

5

1

16.7%

Homeland Security

TSA)(注)

2

2

2

0

0.0%

Justice

1

1

1

0

0.0%

合計

653

742

792

50

9.5%

(注)Transportation Security AdministrationTSA)は以前はDOT傘下。

(出展: 米国科学振興協会(AAAS)資料等から作成)

6.             主要なプログラムの動向 〜ITR

NSFによるIT関連の学術研究振興プログラムITRInformation Technology Research)は、20022月の本駐在員報告でも触れたとおり、金額的にも内容的にも連邦NITRDの柱となるプログラムである。

NSF2002925日付けの発表によると、ITR2002年度新規案件として、大規模案件(5年間513.5百万ドル)7件、中規模案件(35年間15百万ドル)95件、小規模案件(3年間以下50万ドル以下)240件、総額で14,400万ドルにのぼる研究グラントが採択された。応募が1,600件以上あったというので、5倍近い倍率ということになる。採択されたグラントの概要は、ITRのホームページ(http://www.itr.nsf.gov/)で検索することが出来る。

また、2003年度新規案件の募集も、既にITRのホームページ上で行われている。募集要項によると、2003年度のグラント総額は約14,500万ドルが予定されている。内容については、2000年度(ITRの初年度)はIT自体の基盤的研究が中心、2001年度に様々な科学分野への応用研究が加えられ、2002年度に学際領域にも拡張されたが、2003年度はこれを踏襲するとともに、更に知識(knowledge)の獲得と利用の基本的関係やその知識を獲得・組織化・翻訳するためのツールを重視することとされている。

NSFのホームページ(http://www.nsf.gov/)に掲載されているNSF2004年度予算要求の概要によると、ITRについては対前年度比5.9%増の3261万ドルの要求となっている。(これは研究グラントだけでなく設備整備などを含んだ数字である。)(図表13

図表13 ITR予算

(単位: 百万ドル)

FY2002

実績

FY2003

要求

FY2004

要求

2003-2004

増減額

2003-2004

増減%

277.22

285.83

302.61

16.78

5.9%

(出展: NSF2004年度予算要求の概要)

おわりに

本文の中でも触れたように、最近の、@国土安全保障や国家安全保障などに関連するR&D予算の重視、A非国防R&Dにおけるライフサイエンス分野と非ライフサイエンス分野とのアンバランスの是正、といった大きな流れの中で、IT関連R&Dの重要性はますます高まっていると言えるであろう。

ブッシュ政権は2004年度のR&D予算要求に当たり、R&Dの「重要性(Relevance)」、「高度さ(Quality)」、「成果(Performance)」についての評価を強化する方針を表明しているが、今後、これが具体的にどのように運用されていくのかといった点についても注視していくことが必要である。

(了)

(参照URL

http://www.itrd.gov/pubs/blue03/leveraging_talents_01.html(図表12関連)

http://www.hpcc.gov/iwg/orgchart.html(図表3関連)

http://www.itrd.gov/pubs/blue03/agency_budgets.html(図表45関連)

http://www.aaas.org/spp/rd/caprev03.pdf(図表6関連)

http://www.nsf.gov/od/lpa/congress/107/update/cu02_1219.htm(図表7関連)

http://www.house.gov/science/hot/homeland/cybertable.htm(図表89関連)

http://www.aaas.org/spp/rd/prev04p.pdf(図表101112関連)

http://www.nsf.gov/bfa/bud/fy2004/pdf/fy2004_2.pdf(図表13関連)

本稿に対する御質問、御意見、御要望がございましたら、Ryohei_Arata@jetro.go.jpまでお願いします。

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