98年5月  JEIDA駐在員・・・長谷川英一

NGI及びインターネット2の現状 -4-

NGI実行計画(Implementation Plan)の概要

上述のように、98年2月にNGI実行計画の第2版(www.ccic.gov/ngi/implementation)が発表されている。NGIホームページで見ることのできる、この76ページ(PDFフォーム)にも及ぶドキュメントには、2002年までの本計画の詳細が各機関毎の目標も含めて記載されている。ここでは、そのエッセンスを示すことにする。

(1) 目標

本計画の目標としては次の3つが挙げられており、それぞれがいくつかに細分されている。

第1「先端ネットワーク技術の試験研究」であり、主要なタスクとして、現行のインターネットの100倍以上も高速かつ複雑なネットワークを効率よく管理するための「ネットワーク・グロース・エンジニアリング(Network Growth Engineering)」、IPv6(Internet Protocol version 6)やRSVP(Resource Reservation Protocol)などの新しいプロトコルの試用を行いつつ、通信の品質(帯域、遅延など)を保証する「エンド・ツー・エンド・クオリティ・オブ・サービス(End-to-End Quality of Service(QoS))」、そして、パブリック・キー・インフラストラクチャー(PKI)をベースとした暗号技術を中心とする「セキュリティー」、という3つの分野の技術開発が掲げられている。

第2の目標が「次世代ネットワークのテストベッド」であるが、上述のように昨年7月のドラフトでは、それまでの「コネクティング」を「ファブリック(fabric:織布)」と言い直していた。しかし、それでもまだネットワークを張り巡らせることに重きがあるように聞こえてしまうので、テストベッドと言い換えたのだろう。

さて、この目標は二つの段階に分かれている。

第1段階は「ハイ・パフォーマンス・コネクティビティ」と呼ばれ、現行インターネットの100倍以上(具体的にはend-to-endで100Mbps)で少なくとも100以上の大学や国立研究所等を結ぼうというもの(なお、97年における連邦研究機関や大学の平均のスピードは1.54Mbpsと推定されている)。そして、

第2段階は「次世代ネットワーク技術及びウルトラハイ・パフォーマンス・コネクティビティ」となっており、超高速でのスイッチングやトランスミッションの技術開発を行うとともに、現行インターネットの1000倍以上のパフォーマンス、すなわちend-to-endで1Gbps以上の速度で、10程度のサイトを結ぼうとするもの。  

第3の目標は「革新的アプリケーション」で、第1、第2の目標が達成された次世代のネットトワークを必要とするような革新的な応用例を開発しテストすることにある。候補としてはデジタル・ライブラリー、遠隔手術、環境モニタリング、危機管理、生産、基礎科学、そして連邦政府の情報サービスなどが挙げられている。

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