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2003年1月 JEITAニューヨーク駐在・・・荒田
良平 「2002年の回顧と2003年の展望」 |
○ 2002年の米国におけるPC出荷台数は、Gartnerによると、第2四半期まで低迷していたが、第3四半期に対前年比8.6%増を記録した。しかし、これはテロ事件のあった前年との比較であるため、今後の動向を引き続き注視することが必要である。また、メーカー別に見ると、デルの一人勝ちが続いている。(図表11) 図表11 米国市場におけるメーカー別のPC出荷動向 (上段台数(千台)、下段対前年同期比(%))
(出展: Gartner) 以上、こちらも断片的なデータしか取り上げていないが、全般的に見て米国のIT関連産業は通信関連を中心に引き続き厳しいIT不況下にあると言えるであろう。 3. ITを巡る2002年の10大トレンド 昨年に続き、今年もアシスタントのMatthew Vetrini君にITを巡る2002年の10大トレンドを選んでもらったので、彼のコメントも敢えて原文の直訳のまま記載する。もちろん項目の選定やコメントにはMatthew Vetrini君の主観が反映されているが、米国におけるITに対する一般的な見方を表している一例として御参照いただきたい。また、各項目に私のコメントも付記しておく。 (1) マイクロソフト案件 ソフトウェアの巨人マイクロソフトを分割しないというColleen Kollar-Kotelly判事の11月の裁定の結果、1910年代のスタンダード・オイル分割以来の大騒動は尻すぼみに終わった。 しかし、これでマイクロソフトの訴訟問題が片付いたわけではなく、同社は引き続き「同社に継続的な圧力を課す強制力のある条項を含む、5年間有効な和解条件に従わなければならない。加えて、マイクロソフトは引き続きサン・マイクロシステムズ、AOLタイムワーナー他により提起された反トラスト訴訟に巻き込まれている。マイクロソフトはまた、全米の消費者からの100を超えるクラス・アクション訴訟(集合代表訴訟)に直面しており、さらに欧州連合(EU)の規制当局が同社の行動を調査している。」(Seattle Times、11/3/02)また、マイクロソフトはウェスト・バージニア州及びマサチューセッツ州による控訴と、カリフォルニア、コネチカット、アイオワ、フロリダ、カンサス、ミネソタ、ユタ各州及びワシントンDCが求めたより厳しい罰則にも対処しなければならない。 訴訟・和解費用の負担(マイクロソフト負担2,860万ドル、うち裁判費用2,500万ドル、今後の執行費用360万ドル)や、上記の2州の控訴、7州とワシントンDCが求めた厳しい罰則、欧州連合の調査、クラス・アクション訴訟及び数社による訴訟などの問題が残されたにもかかわらず、マイクロソフトは完全勝利ではないにしても戦術的勝利を収めたように思われる。 ⇒ 4〜5割という驚異的なマイクロソフトの営業利益率を可能ならしめている「独占状態」は、反トラスト法の観点からは当面は揺らぐことはなさそうである。 (2) ITトレード・ショーの終焉 ITエコノミーが栄光の日々から遠くかけ離れてしまったことを表すしるしはまだ不十分だと言わんばかりに、ITトレード・ショーの規模と参加者がそれを明確に表している。ショーのすべてではないとしてもその大部分が、2000年のピーク時のほぼ3分の1から4分の1の規模になっている。この傾向の大きな原因は、単に引き続き生き残ってイベントに参加し資金負担するIT企業の数が著しく減ってしまったということである。 トレード・ショーの打撃が非常に大きかったため、「Comdexを運営するKey3Media社(同社は他のハイテク・トレード・ショーも運営している)は先週、四半期ベースで巨額の損失を発表し、破産申請をせざるを得ないかもしれないと語った。」(Wall Street Journal、11/18/02) しかし、多くの人々はトレード・ショーは巧妙に仕組まれた誇大宣伝に過ぎないと思っているので、景品をばら撒いたり交際費をかけるよりも、もっと簡素化した方が実際には成果が上がるかもしれない。 ⇒ ITバブル時代に乱立したインターネット関連のトレード・ショーの凋落は目を覆うばかりであるが、スポンサー企業も出展企業も来場者も集まらないのではトレード・ショーが成立するはずはない。この世界でも「バブル」がはじけ、淘汰が進んでいるということであろう。 |
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