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2003年3月 JEITAニューヨーク駐在・・・荒田
良平 「米国のIT関連R&D政策の動向」 |
3. 2003年度予算承認の概要 2003年2月20日、ブッシュ大統領が未成立だった11の2003年度連邦政府予算承認(appropriation)法の一括処理法案に署名し、やっと2003年度の連邦政府予算の承認が完了した。 残念ながら、現時点では2003年度のNITRD予算承認額については明らかになっていないので、以下に、米国科学振興協会(AAAS)のホームページ(http://www.aaas.org/spp/rd/)に掲載されている連邦R&D予算全体の動向について触れておくこととする。 図表6からわかるように、2003年度の連邦R&D予算承認額は対前年度比13.8%増の1,171億600万ドルで、要求額に比べても4.7%の増であった。(大統領予算教書はあくまでも議会における予算審議の「たたき台」であり、上院・下院における審議の過程で増額になることもめずらしいことではない。) 図表6 2003年度の連邦R&D予算承認額 (単位: 百万ドル)
(出展: 米国科学振興協会(AAAS)ホームページから作成) R&D予算の省庁別内訳を見ると、対前年度で特に大きな伸びを示しているのはDODとNIHであり、昨年に引き続き今年も「国防・ライフサイエンス偏重」予算になっていることがわかる。ただし、昨年と違うのは、図表6の対要求額比の欄を見ればわかるように、今年は予算審議の過程でライフサイエンス予算の増額が抑制されたということであろう。 この背景には、物理学や工学など非ライフサイエンス分野の研究者の不満が抑えきれなくなり、大統領科学技術諮問委員会(PCAST)(http://www.ostp.gov/PCAST/pcast.html)も2002年10月に「2004年度以降の5年間で物理学及び関連省庁にまたがる工学の予算をライフサイエンスと同等まで増額すべき」旨の提言を行うに至ったという状況がある。 2002年12月には、ブッシュ大統領が「NSF予算倍増法」とでも言うべき「NSF Reauthorization Act」に署名し、NSFの2003〜2007年度の予算が認可(authorize)された。(図表7) 実際の予算額は毎年度の議会及び大統領の承認(appropriation)によって決まるものではあるが、NSFの2003年度の予算承認(appropriation)を見る限り、「予算倍増法」による認可(authorization)額に近い額が確保されている。 |
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