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98年2月 JEIDA駐在員・・・長谷川英一
米国におけるコンピュータ2000年問題の現状 -6- |
3.連邦政府の対応 連邦政府部内での動きがいつ頃から始まっていたのか、歴史を辿っても仕方がないだろうが、最初に政府機関をまたがって話題にされたのは、95年7月のFIRMPOC(The Federal Information Resources Management Policy Council)において社会保障庁のY2K白書が紹介された時のようである。議会の公聴会に呼ばれていることからもわかるように、社会保障庁は1989年に既に庁内にY2Kワークグループを作って対策を始めていた先駆的な機関である。FIRMPOCはこの社会保障庁のシステムデザイン開発担当副局長のキャサリーン・アダムズ女史を議長とするワーキング・グループとしてY2Kインターエイジェンシー委員会を設置し、省庁間の調整を始めた。なお、この委員会がGSAの協力の下、政府としてのY2Kホームページを提供している。(www.itpolicy.gsa.gov/mks/yr2000) 96年4月9日付けで、OMBのサリー・カッツェン情報・規則室長から各省庁宛にY2K問題に関するメモが送付されている。このメモでOMBは各省庁がY2K対策を各省庁の情報資源管理のための5カ年計画に含めて取り組むことを要請し、Y2K未対応の製品の調達は行わないよう求めている。また、5月2日に上述のインターエイジェンシー委員会主催の、連邦政府機関全体のY2Kに係る情報交換のためのワークショップ「Y2K時限爆弾会議」が開催されることを知らせている。 その後、このインターエイジェンシー委員会も引き続き開催されているようであるが、表に良く現れるようになったのは、議会から連邦機関のY2K対策進捗状況報告を命じられたOMBである。
OMBは、97年2月に連邦政府のY2K対応の戦略についての報告を議会に提出して以来、5月、8月、11月のそれぞれ15日時点の進捗状況について、議会に報告を提出している。最新の11月15日付けの報告によれば、ミッションクリティカルな連邦機関のコンピュータは8,589システムあり、うち27%(8月時点は19%)の2,296システムがY2K対策を済ませている。915システム(11%)は入れ替え待ち、381システム(4%)はリタイアすることになっており、4,700システムが改修中である。対策費用の総額は39億ドルと積算されているが、OMBでもこの見積もりは過小ではないかと言っている。 機関毎の進捗状況は下表に示すとおりであるが、前回報告との比較では、エネルギー省、厚生省、人事局が、不十分な進捗というカテゴリー(C)に格下げされ、復員軍人省と労働省が進捗が見られると言うカテゴリー(B)に加えられ、さらに環境保護庁と中小企業庁が十分な進捗があったというカテゴリー(A)に格上げされた。しかし、期限目標を、改修は98年12月としていたものを9月に、実証は99年11月としていたものを3月に早めたこともあり、各省庁の対応で間に合わないものは当然出てくるとしている。OMBとしては次の2月調査の際には、クリティカルなシステムで間に合わないと予想されるものを明らかにし、コンティンジェンシー・プランを策定するよう各省庁に求めている。
これらも含めて本調査の重みを考えなければならないが、四半期毎の追跡調査で、次第次第に隠れているものも修正という形で現れてきているようであり、信頼できる調査になっていくものと思われる。いずれにしても、定量的に進捗度を表すという意味では日本も見習う必要があるのではないだろうか。
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