98年4月  JEIDA駐在員・・・長谷川英一

米国産業におけるIT活用の動向(後半) -5-


事例(4)
エイオン(Aon Corporation)
 法人・個人向け保険の提供と関連コンサルティング・サービスの事業者。本社イリノイ州シカゴ。96年営業収入39億ドル。(IT予算非公開)

ITプロジェクト:エクストラネット技術をベースにした法人リスク管理担当者向けリソースサービス、「エイオンライン(AonLine)」(97年中期完成)

推定コスト:非公開

技術内容
 特別開発のソフトウェア・パッケージを使ったコンテンツ管理。ソフトウェアはウィンドウズ95に対応しており、オラクルのリレーショナル・データベース管理システムにリンクされる。

プロジェクト概要
 エイオンラインは、96年にリスク管理コンサルティング機関のアレクザンダー・アンド・アレクザンダー(Alexander & Alexander、97年2月にエイオンが買収)がスタートしたダイヤルアップ方式による情報サービス「アクセスA&A」をベースにしている。主として、次の5種類の機能を持っている。

1 ポートフォリオ情報
顧客企業が加入している保険の種類、現在請求が行われている案件、サービスプランの種類など、個別の顧客に関する情報。

2 ニュース
同社の顧客企業の業種別にインデックス化された、保険及びリスク管理に関する記事やインターネット情報

3 分析ツール
企業データを使ってリスクの大きさとコストを算出したり、顧客の事例に関連する法務関連情報を取り出したり、異常気象などの最新リスク動向をモニターしたりするための、各種オンライン・アプリケーション。

4 リサーチ及びリソース
エイオン社のスタッフが作成したリスク管理や保険業界に関するレポートへのアクセスや、ビジネスに役立つ各種オンライン・サービス(出張プランニングなど)へのリンクなど。

5 通信
エイオン社スタッフへの電子メール・アクセスや、他のエイオン社顧客とのディスカッション・フォーラムなど。

主な成果
 エイオンラインの利用には、年間1万ドルの手数料が必要であるが、現在70社を超える企業が利用登録している。サービスは、多くのリスク管理担当者から、「自社の保険契約などの情報に簡単にアクセスできて、リスクを最小限にするために役立つ情報が得られる」と高く評価されている。

実施企業及び顧客へのメリット
 顧客にとって、エイオンラインのメリットは、自社が加入している保険プランに関する情報管理が容易になることと、リスクの動向を見極めて予め適切な対応策が打てることにある。例えば、利用者の一人であるゼネラル・モーターズ社のリスク管理担当者は、海外出張における安全対策の企業方針を確立する上で、エイオンラインの情報を活用した。一方、エイオン社にとって、オンライン・サービスは「単なる保険会社ではなく、顧客にとってのパートナーでありリソース」という同社のイメージ確立に役立っているという。


←戻る | 続き→



| 駐在員報告INDEXホーム |

コラムに関するご意見・ご感想は hasegawah@jetro.go.jp までお寄せください。

J.I.F.に掲載のテキスト、グラフィック、写真の無断転用を禁じます。すべての著作権はJ.I.F..に帰属します。
Copyright 1998 J.I.F. All Rights Reserved.