(5)ワング・グローバル ――企業イメージの再構築
設立:1951年
売上高:18.9億ドル(98年6月決算)
本社:マサチューセッツ州ビレリカ
純利益:−2億8,160万ドル
従業員数:33,000
発行済株式時価総額:9億7,867万ドル
ソリューション・ビジネス部門概要
構成
政府サービス、アメリカ、アジア・太平洋圏、EMEA
責任者
ドナルド・ケイシー(Donald Casey、アメリカ部門代表者)
全体的戦略
COE(Common Operating Environment)基盤のソリューション・インテグレーション
ターゲット層
電気通信、流通、金融、公共サービスなどの分野におけるネットワークサービス・インテグレーション
(企業概況)
企業の規模で見ると、ワングはソリューション・ビジネス分野におけるライバルに比べて、比較的小さい企業と言わざるを得ない。93年に倒産を宣言し、会社更生の努力を続けてきた同社は、98年6月決算で約19億ドルの売上を記録して再生を遂げつつある。しかし、全盛期の80年代初期の30億ドル近い売上を考慮すれば、まだ完全に復活したとは言い切れないのも事実である。CEO、ジョー・トゥッチは99年までに30億ドル、2000年までに50億ドルの収入を得ることを目標としている。(98年7-12月の半期で、売上高18.2億ドル、純利益2,760万ドルの赤字と、力強い復活基調にある。)
近年、ワングはネットワーク・インテグレーションに関わる様々な企業を買収しており、その努力が功を奏し、ここまでの復活を遂げてきた。その結果、ソリューション・ビジネスの比率は急増し、現在、優に50%を超えている。ただ、同社の最大の買収はイタリアのITグループ、オリベッティであり、この買収によりハードウェア販売部門が強化された。この動きは図8で、97年から98年にかけてハードウェア販売の割合が若干増加していることからも理解できる。
図8:ワング売上内訳の推移
(FY1993−FY1998)
ワングは近年、特にネットワークサポートに力を注いでおり、ソリューション・ビジネスへの移行を狙っている。既に、同社の収入の8割近くが、プランニング、インストール、メンテナンス、トレーニングなどのネットワークサービス関連業務に支えられている。
なお、98年のコンパックによるDEC買収で、ワングは思わぬ利益を得ている。デルコンピュータは同社の最大のライバルであるコンパック陣営と契約をすることを拒否したのである。このため、それまでDECに任せられていたデルのコンピュータサービス契約がワングに移されることになり、その結果、ワングは7万の新規顧客を獲得している。
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