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99年6月 JEIDA駐在員・・・長谷川英一
米国におけるオンライン・プライバシー問題への取組み -5- |
3.民間による自主規制の現状及び今後の動向 最初のところで述べたように、クリントン政権は、97年7月のフレームワークにおいてオンライン・プライバシーは自主規制で進めるとの決意を表明している。そこには、95年6月にIITFがまとめた「プライバシーとNII:個人情報収集・使用原則」にある以下のようなプライバシー原則が引用されている。
1) ジェネラル・プリンシプル
2) 個人情報のユーザーに対する原則
3) 個人情報を提供する個人に対する原則
これらに沿って、民間の自主規制が着実に進んでいくはずであったが、実際にはなかなかそうはいかず、98年に入ってからはゴア副大統領、デイリー商務長官、マガジナー大統領顧問などが再三にわたって民間の努力を促してきた。(この辺りの経緯は昨年8月の月報に詳しい。) 商務省も民間による効果的な自主規制戦略を支えるべく、6月5日、官報に「The Elements of Effective Self-Regulation For Protection of Privacy」を公開して意見を求めている。その要素というのは以下のようなものである。 A. 公正情報取扱いの原則
B. 施行方法
しかし、その前日6月4日にFTCが発表した「プライバシー・オンライン」と題する報告書は、残念ながら業界によるこれまでの自主規制努力は全く不十分と結論付けるものであった。98年3月時点で1,400のウェブ・サイトを調査した結果、その92%がユーザーから個人情報を集めているが、それがどう使われるかを通知しているサイトは14%にしか過ぎず、さらに包括的なプライバシー・ポリシーを提示しているサイトとなると2%になってしまう。また212の子供向けサイトについては、89%が個人情報を集めているが、情報を提供する際に親の承諾を求めているサイトは23%に過ぎず、親による情報の修正と利用のコントロールが可能なサイトはわずか10%となっているというものであった。 そのような状況を踏まえ、何らかの政府による法規制を行わなければならないか否かを議論しなければならなくなった商務省主催の「プライバシー・サミット」(6月23、24日)の前日、滑り込みで民間自主規制の中心的団体として、「オンライン・プライバシー・アライアンス(OPA)」が発足したのである。 |
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